Week21: Season to break down the unread pile
2024-05-28 13:15 (Last updated: 2024-11-19 00:08)
3954 Words // 8 minutes
2024/05/20~26。
描いたもの保管庫はここでいいかという事にしていたのだけど、あんまり閉じすぎるのもなんだしなみたいな気分になってきたので、以前Stable Diffusionの生成画像を投稿するように作ったFedisnapのアカウントを整理してそっちにもアップすることにしました。
https://fedisnap.com/isbsh
納品に次ぐ納品
ずっとやってるレギュラー仕事と、突如降ってわいたCMのまじでちょっとした改訂作業(キャンペーン実施中的なカットの追加)と、A案B案どっち使うかわかんないけど見ないと分かんないからどっちも作れと言われたCM仕事が今週立て続けに終わった。
3つ重なっていたもののどれもスケジュールに余裕があったので、油断からダラダラしては焦って手を動かし、チェックへ回してはやる事がなくなって手持無沙汰になる事の繰り返しで、そんな弛緩した状態に薄く不安になってしまうのは何かに毒されている気もする。
とにかく全部納品したので今週以降は完全に無の状態に突入。
Homerで展示とか観に行って回ろうかとも思ったのだけど、しばらく雨が多いみたいだし、ここはひとつ積みあがった未読の本を読み崩してく機運。
今週読んだ本
- 『あなたとわたしは分かり合えないけど 「ジャニーズ性加害問題」をどう捉えたか』
- 『群像1年分の1年』
- 『シミズくんとヤマウチくん われら非実在の恋人たち』
- 『空白の天気図』
文フリで買った『あなたとわたしは分かり合えないけど』は、ジャニーズ性加害問題についてそれまでファンだったけど距離を置くようになったようなタイプの人達がテキストを寄せた本。
あらゆる出来事がナラティブとして回収されがちなアイドルの活動を楽しむ(消費する)時に、考えたくはないけど、どうしてもその搾取的な構造に加担する形になってしまう事実をすごく極端な形で突きつけられた時、我々はどうしたらいいんだろうかというモヤモヤを覗く感覚は自分にも覚えがある。書く事で整理される面もあるのだろうけど、どれも意見として落ち着いていて、こういう事があった時の自分の中での処理の仕方として参考になる気がした。
半年間、ずっと違和感があったのは、ファンが「私」と「自坦/自軍」だけで完結した閉鎖的な世界の中にこもっていて、社会に対しての視点がないことだった。会見を見て、ジャニーズ事務所/所属タレントもまた同じように「タレント」と「ファン」で閉じた世界にいるのかもしれないと感じ、なんだか恐ろしくなった。攻撃的な「外野」がいる一方で、「タレントが悪いのではない。そういう話ではなく……」とファンの気持ちに寄り添おうとする「外野」もいる。けれども、その声がファンに届くことはなさそうな様子に、一部理解できるところもありつつ、だけどやはり徒労感のような、なんとも言えない感情を抱いてしまう。
ジャニーズ事務所に入所した人物がどれだけつらい思いをしたとしても、現在「成功」していれば、それは「逆境を乗り越えた美しい物語」として受け止められてしまう。傷ついた経験をそれとして受け入れるのではなく、あくまで現在の成功した姿に至るまでに乗り越えなければいけなかった何かとして物語に組み込んでしまうこと。生身の人間を物語として消化することに慣れすぎているようにも思うが、自分もそれに加担しているので、ここをどう切り離すべきなのか、切り離さないまま語るにはどうしたらいいのか、まだ分からなくて逡巡している。
(『あなたとわたしは分かり合えないけど 「ジャニーズ性加害問題」をどう捉えたか』 p40~41)
『空白の天気図』は広島の原爆と、原爆が投下されたその1か月後に上陸し2000人以上の死者を出した枕崎台風に対峙した広島気象台の職員たちの記録を再構成したノンフィクション。
そもそも、恥ずかしながら原爆と広島についてのまとまった本をちゃんと読んだ事がこれまで無かったので、単純に8月6日の描写の地獄っぷりに絶句してしまう。それと同時に登場するのが気象職員だからなのか、原爆が爆発した瞬間を人の体がどのように捉えたのかがものすごく克明に言語化されていて、変な映像を見るよりも情報の密度が高い。
また放射能の被害を受けながら業務の再開のために奔走したり、とにかく記録する事は続けなくてはいけないという使命のもと、市民の口述の記録をかき集める様子だとかを読むと、結局自分の所属する社会がどういう状況であれ、自分の受け持った仕事に責任を持って全うする事でしか前に進まないんだな、みたいな単純なところに行き着いてしまう。
しかしそれも受け取り方に気をつけないと、日本の職人すげーとか組織やべーみたいなポルノに陥りかねないし、はたまたアイヒマン的な凡庸な悪みたいな事にも繋がりかねず、それ以前に公共性や倫理感の構築がなくてはならないのだとは思うけど。
Gender Apathetic
最近トランスジェンダーやノンバイナリーの人の本だとかテキストに触れる事も増えてきているせいか、自分自身の性についてもぼんやりとではあるけど意識が行くようになる。
って別に自分は性別違和の苦痛を抱えたトランスの人間ではないし、かといって問答無用でシスヘテロ男性ですって断言できるほど、いわゆる「男性性」を発動したり求められて自覚する機会という感じでも全然ない。無自覚でいられるのが今の社会で男性性を享受している証拠じゃろがいと言われたらそうなんだけど。
ただ過去に人と付き合っていた時も恋愛やセックスを楽しめていたのか正直わからないところがあるし、現時点においてもそこのモチベーション無さすぎなのでは…的な疑問はあって、これってもしやアロマンス・アセクシャルってやつの傾向なのかと自問してみるものの、そうはっきり言い切れるものでもないしなあ…みたいな、断言していいものなのか踏みとどまりたくなるあやふやな感覚に気づくというか。
そこで自分をアイデンティファイする言葉を探し求めていたという訳でもないのだが、軽くいろいろ見たりClaudeとくっちゃべったりしていたら「Gender Apathetic(ジェンダー無関心)」っていう括りがあるらしく、まあなんかその辺なのではなかろうか、どちらかと言えば…くらいのポジションがある事を知る。厳密にはそれぞれニュアンスが違うらしいけど、Apagender、Inergender、Anvisgenderという表現もある模様。
アロマ・アセクなんかもそうだけど、そういう定義がジャストフィットする訳ではないにしても、言葉があるだけで少し楽になるところは確かにあるよなと思う。
なんて、ただ面倒な事から避けてるだけな話にもっともらしい理由をつけてるだけと言われたらそうかもしれないし、本当にしんどくて困っている人からしたら軽く語りやがってふざけんなと言われてもしょうがない適当さではあるのかもしれませんすいませんと思いつつ、性をグラデーションのあるものとするのであれば、おのおのこういう感覚がどこかにあると気付く事も大事なのではと思っている今現在。
ペーパーマリオRPGリメイクのビビアン
自分はオリジナルもリメイクも全く触っていないのだけど、ペーパーマリオRPGに出てくるビビアンというキャラの描写がリメイクされるにあたってどうなっているのかという一点に着目したライターのお茶缶さんの記事と、実際にプレイした時のリアクションがよかったというか考えさせられるものがあった。
ゲーム全体で描かれるボリュームで言ったらほんの一部のほんの少しでしかない会話の、言葉の一つ一つにここまで問題意識をもって臨めるのがただすごいなと思うし、ちゃんとしすぎるなんて事はないんだなと思わされる。
カミナリの記録ライヴ ~素晴らしきデビッド・ワイズの世界~
会いに行って会えたのも面白かったけど、ちゃんとイベント企画してワイズも来てくれて、諸々になんか泣ける。ワイズの黒いサックス。
ジロ・デ・イタリア2024
全21ステージが終わって、総合順位は下馬評通りと言うか下馬評以上にと言うかとにかくポガチャルの土壇場で、そこのスペクタクルはもはやあんまりなく、どちらかというとペリッツァーリやシュタインハウザーやパレパントルといった若い選手たちの台頭を感じられたのが良かった。シュタインハウザーは血こそ繋がっていないらしいが、あのウルリッヒの甥っ子なんだとか。
あるいは勝てない時間が長かったアラフィリップがステージ獲ったのとか、キンタナがめちゃめちゃ頑張ってるのをポガチャルがあっさりぶちぬいていった時に、おそらくコロンビア人のファンの子供が泣き叫んでいる様子などが印象的だった。
まあしかし、そうは言ってもやっぱりこれはポガチャルのためのジロだったのであって、ほとんど伝説のエディ・メルクスと比肩するようなステージの獲り方は、つくづくすごいものをリアルタイムで見せてもらっているのだという気持ちにさせられる。
現状ヴィンゲゴー以外に総合で太刀打ちできる選手がいない事を改めて見せつけられると、去年ヴィンゲゴーにポガチャルがコテンパンに負けてしまった時こそ悲しくてしょうがなかったのだけど、ヴィンゲゴーがここまでの選手に成長していなかったら、ものすごく退屈な数シーズンを観る事になっていたのは確実で、ヴィンゲゴーに対する感謝とリスペクトも増してくる気がする。
だから全開のヴィンゲゴーとバチバチやってポガチャルの勝つところが見たいのに、バスクツアーの落車がだいぶ酷くて、練習再開こそしているらしいがチーム関係者曰く「100%じゃなければ出場させない」らしくどうなる事やら。
そのほか
- 清宮さんが卒業発表。
- 袴田事件再審公判、検察が死刑を求刑。検索のどうしようもなさ。
- Adobe Creative Cloudの料金がまた値上げ。