2024/6/10~16。

I never go to places I can always go to = いつだって行ける場所にはいつまでも行かない」とはトークショーに行くに当たってパラパラ読み返した安達茉莉子さんの『臆病者の自転車生活』のサブジェクトからの引用です。
安住を越えるためのなにかが人によっては自転車だったり別の何かだったりするっていう話なんだけど、暇なわりに雨も降らないもんだから自転車乗りたいがためにあちこち移動している日々。

Homerの1ヶ月点検へ

水曜日、BlueLug代々木公園店に連絡を入れたところ「今日だったらいつでもOK」とのことだったので、他の用事を済ませた後の昼過ぎに富ヶ谷まで行って自転車を預ける。

向かう時に普段あまり走ることのない赤坂通り~表参道~井の頭通りのいわゆる赤坂杉並線を走ってみたのだけど、直線距離こそ家から最短と見せかけて、赤坂のあたりは道も狭く表参道のあたりは車が多い他、全体的にアップダウンもこまごまと多くてあまりいい事が無かった。やっぱり渋谷の方へ向かう時は芝公園の南を回って麻布通りと明治通りの方から攻めるのが走りやすいのだというのを改めて確認。でもちょっと飽きたんだよなー。

それはともかく。点検自体は何事もなく終わり、そのまま帰るのもなんだなというマインドからクリントさんと軽く雑談というか、もうちょいスリックめなタイヤにするとしたら何がいいかとか、いずれはヘッドセット替えるのもいいのではみたいな話をしたり、最近店ごと譲り受けたというBikeFridayのことやキャンプアウト、鹿児島の話などを聞いて相手をしてもらう。

点検はタダだったし相手もしてもらって手ぶらで帰るのもださい気がして、BlueLugとTeamDreamの手ぬぐいを買って帰った。

にしても最近なんらかの店に行ってお店の人と会話する事にそこそこ楽しみを覚えている自分がおり、なんというかこれって中年ムーブだよな…などと加齢を感じている。単純にコミュニケーションに飢えているのかもしれないが。

ちなみにこの日はそこそこ気温も高かったのだけど、行き帰り合わせてヘッドフォンしながら走ってる人が複数おり色んな意味で馬鹿なのではと思ってしまった。

アニメーション界隈の横の繋がり問題

アニメーション界隈、と言ってもいわゆるメジャーな商業アニメのものの話でなくて、自分の周囲の作家やアニメーターとかの横のつながりが、昔にも増して薄い状態ってそろそろまずいのでは…という危機意識が四元さんの中にあるという話をした。

というのは、四元さんが映画祭で中国や韓国の作家の話を訊くと向こうでは自主的な上映会だったりが盛んで、見るからに盛り上がっているのが作品の質にも現れているらしく、そうしたものが日本にも必要なんではというのをひしひしと感じているのだとか。

現に仕事を通して色んな作家の話を聞いていると、大なり小なりそうした上映会、とまでは行かずとも、簡単なもくもく会的な空間などがあったらなという声もあるとかで、結構切実な話なのかも。

CAGEがあった頃はあまりそういうのも意識せずに出来ていたはずなのにな…と思うと、やっぱりSlackやDiscordではないリアルな場所は大事なのであって、簡単に手放してはいけないのだと思わされる。

なんて無くなってしまった場所を今更嘆いてもしょうがないが、とにかくそんな話をで四元さんとの雑談の流れでして、こういうのはとにかくやり始めるのが肝心なんすよ、なんかしらやるに越した事はないですよと、とりあえずで会議室を抑えるだけ抑えるところまで見守った。絶賛自主製作中の稲葉さんの作品を見る会(プラスアルファでなにか)という建て付けになる空気が濃厚。

やったらいいじゃん、などと煽っておいて自分自身は何もしないのかと問われると、悲しいことに作っているものもないので「何もないです…」と言う他ないのだけど、過去の仕事でやった技術的なトライについての説明とかだったら出来るかもしれないなという気はしている。

小俣雄風太×安達茉莉子 『旅するツール・ド・フランス』(太田出版)刊行& 『臆病者の自転車生活』(亜紀書房)重版記念

下北沢のB&Bにて。小俣さんの本の出版記念トークショーは、先月目黒の自転車文化センターで行われた際も行ったのだし、そんな何遍も行くものではないのでは…と言う気がしないでもなかったのだけど、前回はゴリゴリに自転車レース文化の中にいる栗村さんとそういったレース運営周りの話題が多かったのに対して、こちらは自転車と文章というテーマでそれぞれの考えなどが話されていて、全く違う内容のものが聴けたので行ってよかった。

自転車乗ってる時に考えがまとまったりマインドフルネスな状態になる感覚は文筆業に向いてるだとか、身体性と思考は繋がっているはずだという話や、自転車に乗ることによって少し遠くまで走ってみようと踏み出すモチベーションや前向きな精神を手に入れたことだとか、『臆病者の~』で書かれていた内容を直接安達さんの声で聞けたのは面白かった。

また、いま日本で自転車について語るといった時に、雑誌などを筆頭にレース向けの新しい機材の半分広告のようなレビューの仕事が大半になってしまっていて、安達さんの本のような自転車に乗ってこなかった人が乗るようになって得た感覚や変わったものについてもっと書かれるべきだし、ガチめな自転車関係者こそ読むべきという小俣さんの話はそうだなと思う。文化といった時に資本主義的な消費の方向に回収されないためにもっと生活や自分自身について語る必要があるというか。

今回小俣さんが自転車の本を出してみて、いざ書店で自分の本を探そうと思った時にそもそも自転車本の棚が存在しなくて愕然としたという話とも繋がって、いまの自転車の文化であるとかメディアに足りてないものが明確になったんじゃなかろうか。

またこの組み合わせでお話を聴いてみたいなと思ったので、サインを頂くときに伝えたところ「ポッドキャストでやりたいですね」とのことで楽しみ。

またサインもらったのかよと言う感じだけど、サイン会はサインを貰うための機会というよりは作者と読者のコミュニケーションの場なんだなと思ったのでいいのです。結果的に小俣さんには1冊の本にふたつもサインしてもらうという変な事にはなったけどそれもまたよし。一方安達さんのサインはイラスト付きでめちゃくちゃかわいらしく、こちらはシンプルに描いてもらえて嬉しいやつだった。

今週観た映画

  • 『違国日記』

期待半分怖さ半分くらいの気持ちで観に行ったのだけど、原作で体験したような感覚を追体験するというほどのものでは正直なかった。

良くも悪くもなるべく原作のイメージを崩さないようにしているのが伝わってしまう感じというか。特に大人の方の登場人物にそれは感じて、ずっと漫画に合わせてるとまでは言わないまでも、要所要所で漫画の決めゴマにハメに行ってるような雰囲気に違和感があり、漫画原作ものの映像化も、昔とは比べ物にならないほど原作ファンの声の攻撃力はでかいし大変なんだろうなみたいなことが過ってしまう。なんと言うかビビり過ぎでは…っていうか。

そんな中、朝役の早瀬憩さんをはじめ、学生の人達は拙さもあってかそこまでそういった縛りのようなものは感じず、原作と程よく距離を取りながら現実の10代の不安定さのようなものが表現されていたんじゃないかという気はする。

今週読んだ(でる)本

  • 『大熊猫』西川口圭
  • 『女たち』奥野紗世子
  • 『スペース金融道』宮内悠介

西川口さんの本は前作もそうだったのだけど、物語の前段階としてのシーンの細かい描写がおもしろいなどうなるんだろうなと思っていたら、そのまま何も始まらずに終わってしまうのに結構肩透かしを食らってしまう。物語が展開してく前の主人公のダメさとかが顕わになるようなシーンにリアリティだったり面白みを感じるのもわからなくはないけど、いち読者として触れてみるとやっぱりあの先の何かを欲してしまう。

奥野紗世子さんのはこないだの文フリ東京開催の際maquiさんが『女たち』のデザインまわりをやったのでぜひという告知をしていたので買ってみたところ、すごく面白かった。

かつてインディーのスターだった中年男性である主人公どうしようもなさと、それに関わる何人かの若い女性たちのエピソードなんだけど、ほんとこの主人公のダメさが生々しくてつらい。というと、西川口さんの本でそれだけじゃ物足りないと思っていたような点を褒めているみたいだけど、たぶん複数の女性との関わりを通して、どんどんそのダメさが立体的になってく感じであったり、そのダメさの中にあるのであろう魅力などが見えてくるかどうかが、単純に物語の展開があるかどうかよりも重要なんだろうなと思う。あるいはその関わる女性たちのディテール、生臭さとか。

今週のMMA

  • UFC Vegas 93

なんと平良がメイン。日本人選手が日本大会のサービス的なマッチメイク以外でUFCのメイン張るのは2015年のDJvs.堀口以来の9年ぶりと聞くと遠い目になる…というのはともかく、そんな大舞台なのにそこまでの大チャレンジ感もなく、普通に勝つんではと思ったら普通に勝ってくれてよかった。

正確に言えばスタンドでのおたつロックの体制から上体を揺すってぺレスのバランスを崩して倒した際に、残った右脚の膝が変な曲がり方をしての続行不可能っていう、普通にっていうには少しアクシデントっぽい終わり方ではあったのだけど、平良の攻撃でダメージを負わせた上での正当な勝利なわけだし全然問題ない。

展開としては、遠めの位置からカーフキックを振りながら距離を詰めてコンパクトにパンチのコンビネーションをまとめようとするぺレスに対して、あまり受けすぎることなくぺレスのキックがミートしそうな距離ではジャブで牽制しつつ、距離が詰まったら首相撲でクリンチして相手のパンチを封じつつあわよくば膝を当てるなどして対処し、折を見てテイクダウンして自分のフィニッシュに向かうという感じで、素人目にも対策がわかりやすいのが面白い試合だった。

これから更に上のランカーとやる権利を得たことだし、それほど遠くない時期にタイトルマッチが組まれても、ちゃんと対策がハマれば行けちゃいそうな気がしてしまう。

今週のプレいりすtろ







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