そんなに疲弊してるつもりもないんだけど、進行中の作業がなかなか進まず、気が付いたらどんより澱が溜まっている感じ。

作業というのも別に頭を使う類のものではないので、何かが決まらないとかしっくりこないみたいなクリエイティブな悩みの話ではなく、ただただ単純な物量の問題なのだけど、楽をしようにもあんまり手立てがないというか、トータルで見積もっておそらく手でやるのが一番早いからやるしかなさそうという状態で、「40前にしてこんなちまちました手作業のマスク抜きをこんな大量にやることになるとは…」なんて事をつい考えそうになってしまったりする。

それもこれも某さんの仕事だから腹括って出来るんであって、誰の仕事でもこんな作業引き受けると思われたら厳しいものがあります。

といった感じでメンタルが少しだけ澱んでいるので今週はあっさり行きたいと思います。
2023年7月31日から8月6日の記録です。

今週のニュース

子どもの在留許可が下りたのは良いけど、法律で何かを定めたわけではなくとりあえず今回のところは…みたいな話らしいし、国連人権理事会の会見でジャニーズ問題がとりあげられたのは良かったけど、あくまで日本全体の構造的な問題について各分野にわたって述べられていて、その中のメディア産業、更にその中の具体的な問題の一つとして取り上げられた形らしい。が、日本のニュースを見ているとほぼほぼジャニーズの問題についてだけ会見したみたいに見えるのが歪つでなんだかなあ…と思わなくもない。

バーベハイマーはどっちも映画はそんな指向で作られていなさそうなのに、とんだとばっちりでミソついちゃって残念。オフィシャルの広報がやらかしたのでとばっちりと言うのも違うのだけど。

このことについて、アメリカ人の核に対する理解のなさや想像力の無さを非難するのは簡単なのだけど、日本がそこのアピールを外に向かってちゃんとして来なかったというか、正当性をもって外に訴えるために、自分たちの加害についても正面から認めて謝罪するようなことをしてこなかったせいでもあるだろう。というような事を言ってる方がいたけどその通りだとも思う。

今週観た映画

  • 『X』
  • 『Pearl』
  • 『スーパーマン(1978年)』

聞こえてくる『Pearl』の評判がすこぶる良いので、予習的に家で『X』を観て、映画館で『Pearl』を観た。

『X』はA24が往年のジャンル映画をツボを押さえて上手くやっちゃうぜ的な作品だろうか…とか思いながら観ていたところ、普通に悲しい背景のある話で、ホラー映画の加害者の被害者性みたいなところへの言及がちゃんとなされていたのが良かった。

それで「人間こうなっちゃうのも理由があるのだよな…」などとエンパシー的な眼差しを向けていたら、どんどん犯人のサイコパス描写が上がっていき、最終的には「こいつは殺されるのもやむなし!」となってしまうので、なんというか複雑な気持ちになりはするのだがスカッともする。

その続編であり前日譚であるところの『Pearl』。その「こうなっちゃった理由」がまるまる描かれており、家庭における妻もしくは母親が抱える抑圧と、更にその娘がうける抑圧みたいなものが明示されていて、元々ちょっとおかしな挙動はあったにせよ、脈絡もなくサイコパスがバーストしたわけではないという事がタイトに表現されていて、こちらも『X』以上にとっても良かった。

てか、いろいろあるけどどっちもまず各年代のメディアに合わせたような映像のルックがいいし、とにかくミア・ゴスがすごい。

『X』と『Pearl』相互でいろんな要素をきちんと絡めてるのも丁寧でそれを追うのも楽しかった。更にもう一本『MAXXINE』が控えているようなので、それも絶対に観る。

こんなかっこいいタイトル画面あるか。

今週読んだ本

  • 『血を分けた子ども』

オクテイヴィア・E・バトラーの短編集。

生殖の話だったり、性にまつわるテーマが多くてとても面白かった。また創作についてのエッセイも収録されていて、とにかく閃きとか才能なんて信じないで続けろという、中島卓偉みたいな真っ直ぐのメッセージだったのは、作品やバトラー自身の背景を鑑みるととても腑に落ちる感じがする。

そのほか

UCI 世界選手権 男子ロードレース

去年の王者レムコ・エヴェネプールがまたどっかで独走する展開になるのかな~と思ったら、ファンデルプールにファンアールトにポガチャルと、とりわけ好きなレーサー達がみんなポディウムに乗る結果で笑顔に。

終盤4人に絞られたのを見た感じ、270kmと長いコース設定もあって流石に疲労も見えていたポガチャルがアタックで抜け出して勝つには難しそうで、ファンデルプールとファンアールトとピーダスンのスプリント対決になるかと思いきや、ファンデルプールが途中ぶっちぎって独走での優勝。

独走に入ってから濡れた路面のエリアで落車した後、シューズがぶっ壊れてプラプラしてたパーツを手でぶっちぎって更に加速するのとかさあ…いい加減にしてよってレベルでほんとマジで超かっこいい。正直今女性アイドル見るよりもときめきが生じる存在。チェウォンさんすまん。

祖父がフランスの伝説的な自転車選手で、父親もオランダの強かった選手でっていう、こんな漫画みたいなスポーツエリートにうっとりしてしまうなんて悔しいような気もするけど、そういう星のもとに生まれた人間はいるのだ、というのをマチューが勝つたびに見せつけられる。